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'88 lifeworks

ギリギリ昭和生まれサラリーマンの日記

26歳独男だけどクリスマスに彼女できた

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メリークリスマス!今日は待ち遠しかったクリスマスです。良い子のみんなは、サンタさんからクリスマスプレゼントもらったかな?冬休みはクリスマスプレゼントと一緒に楽しく過ごそうね。

今日はなんだか、街ゆく人が幸せそうに見えたな。大切な人と素敵なクリスマスの夜を過ごすからでしょうね。散々クリスマス批判をした僕だけど、自分が素直な気持ちになればクリスマスってこんなにキラキラして素敵なものだったんだなって気づいたんです。

「都合のいい男だ」「変わり身が早すぎる」なんて言われそうですが、僕は今とっても幸せなんです。

だって、彼女ができたから。

彼女との出会いは本当に衝撃的でした。まだ数時間前のことなのに、すごく昔のことを思い出すような感覚になります。それくらい非日常的な出来事でした。

昨日の夜はクリスマスボッチの自分を癒すかのように、セブンで買った骨付きチキンとケーキを食べながら女の子とイチャイチャできるゲームをして過ごしていました。クリスマスに合わせてヴァーチャルハーレムを形成する!という目論見通り、全女性キャラを攻略して悦に浸った僕は静かに床に就きました。

ようやく深い眠りが訪れてようとしていたころです。突然、部屋の窓が音を立てて揺れたのです。

「ドンドンッ」

クリスマスイヴとはいえ、平日ですから仕事に備えて睡眠は十分にとらないといけません。一度目が覚めてしまった僕ですが、気だるい気持ちを抱えたまま、起きることはなくもう一度眠りに入ろうとしました。

「ドンドンッ、ドンドンドンッ」

と窓から音が聞こえてきます。段々と強くなっていくノック音に尋常ならざる気配を感じ、むくりと起き上がりました。枕元にあるランプシェードのスイッチを入れ、メガネをかけて外を覗くと、決死の面持ちの女性が窓を叩いているのです。

「玄関からきてくれよ...」とやや間延びしたことを考えた僕はきっと寝ぼけていたのでしょう。事態の深刻さをよく理解できてないまま、窓を開けると女性はベッドに転がりこむようにして部屋に入り、小さく丸まった姿勢のまま息を切らしていました。

ようやくここで覚醒してきて、これはいけないと思い。キッチンからコップ1杯の水を持ってきて女性に渡しました。彼女はコップを受け取るとぐっと一気に飲み干しまし、潜水から上がってきたかのように大きく息を吸うと、ゆっくり声を発しました。

彼女は、自分はとある人物から逃げていること、行くあてもないので目に付いた家に来たこと、とにかくお風呂に入りたいことを告げました。いきなり家に上がり込んでおいてずうずうしいことこの上ないとは思いましたが、彼女の乱れた髪を見ると、これまでの苦労がにじみでているようで少し寂しい気持ちになり、風呂に湯を張りました。

彼女が風呂に入っている間、僕はキッチンに立っていました。先ほど彼女が静かに話す中、「ぐう」と腹の虫がなったのを見逃しませんでした。少し恩着せがましいなとは思いながら、今の状況が全く腑に落ちていない僕はいてもたってもいられず、料理をすることにしたのです。

彼女が風呂からあがると、先ほどと同じ服を着ていたので僕の寝巻を貸しました。着替えを待ってダイニングテーブルに座らせ、作ったチャーハンを出すと「こんな時間に食べるのは…」と急にあたりまえのことを言い出し、少し笑いました。「こんな時間に急に訪ねておいて、それはない」と言うと彼女は得心いったという表情をしてスプーンを手に取りました。

食事を終え、テーブルをはさんで向き合うような形で座っていましたが、彼女が急に身の上のことを話し始めました。「自分は毎年ある人の仕事を1日だけアルバイトでお手伝いしているのだけど、とてつもなく過酷な労働を強いられるので耐えかねて逃げてきた。報酬は”ハッピー”だなんてオカシイ」と語りました。

彼女も噂のブラック企業の被害者なんだと思うと、1日だけとはいえ無給でこんな夜遅くまで働かされることに同情しました。しかし僕は「どうすることもできねえんだよなあ」と相田みつをに詩を頭に浮かべながら、ただ黙って、のども渇いていないのにお茶をちびちび飲んでいることしかできませんでした。

時計を見ると深夜1時を過ぎていて、「あぁ、普段なら絶対寝てる時間だ」と思いながら、日常というレールから外れている自身の状況を理解しようと試みていました。

「ピンポーン」

はっとして頭をあげると、彼女が曇った表情を浮かべていることに気が付きました。その後ろで、誰もこない寂しい独男の部屋に珍しく来客があった、と嬉々と言わんばかりにインターホンの画面が煌々としていました。

画面をのぞくと、一人の男性が玄関に立っている映像が映っていました。その姿は普通ではなかったです。返り血を浴びたかのような真っ赤な装束に大きな体を包ませ、恐らく凶器が大量に仕込まれているであろう大きな白い袋を抱えていました。白いひげを蓄えた表情は一見穏やかにも感じたのですが、無言の威圧感というものが画面越しに伝わってきました。ある人が仕事を放棄した彼女への報復にやってきた、と一瞬で理解した僕はなんとかするしかないと思い、インターホンで彼と対峙することにしました。

「はい、どなたですか」

「こちらに娘さんが一人いらしてませんか」

ドキッとして身を震わせてしまったのですが、「いいえ」と答えました。きっとフェイストゥフェイスだったら表情で嘘をついていると簡単に見抜かれていたでしょう。

「困りましたね、ここからが本番なのですが」

ここからが本番?これ以上に彼女を追いこんで苦しめる気なのか?それはあっちゃいけない。そう、僕は社畜だけどブラック企業は大嫌いなんだ。

「仮に、です。」

「はい?」

「仮に、あなたの言う女性がここにいたとしても、それは私の大切な人なのであなたに引き渡すわけにはいきません」

と、クゥゥ!イケメンすぎる!と自己陶酔しかけましたが、苦し紛れに言ったよくわからない超絶理論を言い放った僕の顔はブサメンでした。

「・・・仕方ないですね。来年また来ます」

そう言って彼はインターホンから背を向けました。「来年?明日とかじゃないんだ?」と疑問は尽きなかったのですが、彼には彼の事情があるのだと思います。彼が画面から見えなくなるのを確認して、僕は妙に安堵しました。

「なんて日だ…」と某山賊とは似ても似つかない小さな声で呟き、部屋を見ると独りぼっちの寂しい日常にはあり得ない、非日常がそこに立っていました。

「よくわからないけど、これでひとまず来年までは大丈夫だと思う」そう彼女に告げると、目を潤ませながら「ありがとう」と何度も言っていました。そして続けて、

「さっきの言葉、うれしかった。出会ったばかりだけど、これからもあなたと一緒にいたい。お礼がしたい。だから…」

「私が、あなたへのクリスマスプレゼント」

 

なんてことがあったらよかったのになぁと思いながら今日もチキンを喰ってます。